東アジア女性宣言・行動計画                ―21世紀に向けて―       宣言  「東アジアの未来を女たちの力で創ろう」―1994年10月20日から22日まで江ノ島で開かれた第一回東アジア女性フォーラムに東アジアから集まった600人の女性が誓い合いました。政治・経済制度の違いなどからこれまで引き裂かれていた私たちが出会い、そして私たちのシスターフッド(女たちの連帯)で堅く結ばれ、私たちの声をあげたのです。  21世紀はアジアの世紀だといわれています。世界的な経済大国になった日本、新興工業経済地域(NIES)としてめざましい経済発展をとげた韓国、台湾、香港、経済成長を加速させつつある中国とマカオ、市場経済に移行しているモンゴル―東アジアの経済的活力は、世界市場に溢れる商品となって世界中の人々に影響を及ぼしています。台頭するアジアは世界の注目を集めているのです。  しかし、市場経済によるこのような経済発展が、果たして生活の質を改善し、男女平等や女性の地位向上を促進したのか疑問です。フォーラムに参加した女性たちは自らの生活体験や女性運動の経験を分かち合うことで、東アジアの現実を検証点検し、現在の経済発展が環境破壊や女性の人権侵害を引き起こしていることが報告されました。さらに、東アジアに共通の儒教的家父長制やその他の宗教的文化的伝統も検討しました。そして女性差別、性別役割分業が根強く残っており、経済、政治、社会、教育、メディア、文化などいずれの分野でも女性が政策決定の場に少なく、男女平等に程遠いことが確認されました。また、かつての日本の侵略戦争の傷痕に今も苦しむ被害女性に十分な補償が実現し、東アジアを再び戦争のない平和の地域にすべきだと確認されました。  しかしこうした状況にも関わらず、この地域の女性たちはめざめ、女性運動やさまざまな市民運動を組織し、女性の人権が守られる男女平等で人間的な社会をつくるための闘いで、女性たちは勇気と決意と創意を示したのです。フォーラムで、私たちはこのような豊かな経験の交流を通して、東アジアの21世紀に向けてのビジョンを模索しました。それは経済発展のみはでなく、精神的価値を伴う社会的文化的発展です。まさにそれは公正で平等で民主的な社会というオルタナティブな発展です。男性と女性、人間と自然、多民族、「北」と「南」が共に調和をもって生きることができ、平和で持続的な文明の創造のために協力し合うことができる社会です。  このようなビジョンを実現するためには、この地域に生きる女性一人ひとりがエンパワーされ(力をつけ)、それぞれの国・地域で女性の運動を広げ、国家や民族や宗教や思想などの違いを越えるシスターフッド(女たちの連帯)を強めることが必要です。東アジア女性フォーラムは95年北京世界会議に向けて、以下の行動計画を採択し、それぞれの国・地域で女性たちが力を合わせて実行する決意をここに表明します。  東アジアの21世紀へのビジョンを現実のものとするために。             1994年10月22日                  第一回東アジア女性フォーラム 江ノ島で